美味しいあんかけ

きみに夢中 まだまだ途中

少年の笑顔の裏

 

映画『少年たち』にてSixTONES・髙地優吾さんが演じているキャラクターはエガオという。勿論本名ではな(いよね?)く、言うなればコードネームとしてその名称が通っている。「エガオ」というだけあり常に笑顔を浮かべ、本当の自分を隠してきたエガオ。そんな彼が少年刑務所の自室に持ち込んでいた書籍というのが『ほんとうの友だちが欲しい』だ。

あのエガオちゃんが持ち込んでいた本のそのタイトルを知ったのは公開からだいぶ経っていたころなんだけど、知ったときに全てを持っていかれた気がした。ダイケンが罪と罰を読んでいたのもしんどくなってしまったけれど、エガオちゃんが持っている本が「ほんとうの友だちが欲しい」なのヤバすぎる。

なぜ彼はそのタイトルの書籍を自室に?、とか、それを彼は読んで、一体何を思っているのだろう、とか、いろいろと。興味がずっとあって、読みたいな〜と思っていたもののきっと本屋には売られていないだろうな…と半ば諦めていた。が、私が住んでいる街の図書館で蔵書検索をするとなんとヒットした(天才かと思った)。ので、少年たちの参考文献である『少年たちの贖罪』と共に借りてきた。読みたいオタクは市とか区の図書館に行ってみるといいかもしれない。ところによっては大学にもあるかもしれないな…(ちなみにうちの大学にはなかったので望みは薄々の薄)。

以下、感想文を数年ぶりに書きたいと思った。ここまで読むと盛大なガチ深読みブログにしか見えないけど、ほんとうにただ感想を書いた文なのでたいしたものではないよ。

 

『ほんとうの友だちが欲しい』を読んで

ジャニオタ大学ジュニア学部東京学科兄組3ユニコース在籍 氏名:@amz_sst

 

なんやかんや、こういった題材の話を一オタクが創作として昇華するのはどうなのだろうと思っている。し、私自身が思ったことをあたかもそれが世の中で正しいふうに受け取られるというのは個人的にいただけない。なので、いまからのことはすべて、解釈厨による一個人の妄想感想だと思って読んで欲しい。書く上でそれとなく責任は持つけれど、それが正しいとは限らないよ、という保険をかけた上で。


映画少年たちの参考文献『少年たちの贖罪 罪を背負って生きる』(以下、贖罪)と併せて、エガオの所有している本『ほんとうの友だちが欲しい ーいじめの中で苦しむ子らー』(以下、ほんとうのー)をひととおり読んでみた。
贖罪のほうには、エガオ、ほかにはダイケンやホストの基になったであろう人物のことが描かれていた(きっとほかにも沢山いる)。劇中、主人公格(ジョー、ジュン、コウタ)とそこにかかわる人物の次にこのふたりのことが詳しく語られていたのは、この参考文献に基づいてなんだな…と今になって思ったし、そこに髙地くんと北斗さんがあてられたのもなんだか納得できた。

 

まずは贖罪に書かれてある、エガオの基になった人物に関してざっとまとめる。

彼はいじめが始まったころ、グループ内で成績の良し悪しによる心理的距離があったものの、小学生のころからの仲だったので周りからは「仲がいいグループ」として見られていたという。恐喝やいじめが続き、もちろん担任に助けを求めた。が、担任は「仲良しグループだろう?君にも悪いところがあったんじゃないのか?」と問い、仲間内の喧嘩だと思われていたという。いじめがさらにエスカレートしたあとのことを振り返って彼は「いじめても構わないという雰囲気が出来ていて(中略)僕へのいじめが“教師公認”のようになってしまった」「(暴力を振るわれても)おちゃらけた態度で従っていた」「周りから見たら一緒に遊んでいたとしか見えなかったと思う」とある。

エガオと贖罪の中の彼が完全にイコールになるとは思わない(物語にする上でいくらか脚色されていると思う)が、劇中の髙地くんが「エガオ」と呼ばれている由来というのはきっとこれに基づいての話なのだろうな。

やばい塊で腹を何回もぶん殴られ(あのシーンしんどくて見れない)金を巻き上げられている。きっとあれ以外にも壮絶なことをやられているのだろうな、これは想像だ。そうしてどれほどえげつないことをされても、周りがいじめなんて感じさせないような振る舞いをしていたんだろう。そしてその振る舞い方が、まるで何事もないかのように「笑顔を浮かべること」だった。

 一方『ほんとうの友だちが欲しい』には、最初のほうに「ポーカーフェイス」の話が出てくる。ある少年がいじめられていくうちにだんだんと無表情になっていった。そのことを、英語の授業中に出てきたポーカーフェイスという単語を「こういうのをポーカーフェイスと言うんだぞ」と先生がクラスのみんなの前で言った…(要約)と書いてある。無表情と笑顔と言われれば一見違うようにも見えるけれど、本質的には「本心をわからせないように常に同じ表情でいる」ので、きっとエガオは『ほんとうのー』の冒頭も冒頭のこの話はきっと自分のことと重ね合わせたのではないかな、とかってに想像した。

 

さて、「なぜ彼はそのタイトルの書籍を自室に?」とか「それを読んで彼は何を思ったんだろうか」など、いろいろな疑問が湧いてきた。途中に、いじめてしまった側の話すら出てくるその本を、いじめられた側の内容が事細かに書かれたその本を、なんで彼は読んでいるのだろうか。あの短さの映画で深読むなんて難しいけど、こうだったら…となんとなく妄想した。

いじめや恐喝を受け、結果引きずり行為に出てしまったエガオ。贖罪の彼が基になっていることを踏まえると、いじめを受けているのに、上辺だけの笑顔を浮かべてグループのなかでなんでもないかのように過ごしている、という背景が少なからずあるのだろう。しかし彼の中では、友だち、なんてものはとうの昔に、そのグループから見いだせなくなってしまった。誰かをいじめることでしか仲間意識をみいだせない、形式だけの薄っぺらな「友だち」のグループに身を置いていたが故の、「(いじめなんかしてこない、)ほんとうの友だちが欲しい」という、私たち観客に向けられたただの純粋で端的なメッセージ、回想シーンの伏線として(なので本の中身はあまり関係ない)そこに置いてある……という考えが妥当なのかなと思った。

 

でももっとなにかあるのでは…いや…あってほしい……と思うのがめんどくさくて厄介な妄想オタクの性である。

たとえばそのメッセージの方向が私たち観客、ではなく少年たちの世界の中に向いているとしたら。

あの本が刑務所内の図書室(ヒロトやダイケンが勉強してたところ)にあったのか、刑務所の外から持ってきたのかは分からないけど、あのただでさえ赤青黒でバチバチに対立している少年刑務所のなかで、あれを読む意味とは?赤房内はともかく青や黒とはジュンが来るまでバチバチで喧嘩三昧、基本は拳のぶつかり合い。そんな刑務所の中でエガオのメッセージである「ほんとうの友だちが欲しい」なんて叶わないのでは?と思ってしまった。

ここでジョーの話をするけれど、彼は入りたてのジュンに仲間だろ、と声をかけていたので、赤房のほかのメンツのこともきっと仲間だと思っているのだろう。ジュンが来る前から同室だったエガオのこともきっと。エガオなんて同世代の人間のこと信用出来ないだろうに。

エガオは本当の自分を隠しているんだ、隠しているのなら、本心から「ほんとうの友だちが欲しい」なんてちょくせつ言えないと思う、けど、間接的には伝えることが出来る。私がそのタイトルを見た時に受けた衝撃みたいに、あの短いタイトルの中にインパクトをもって。

そうしたら同室のジョーならさすがに、エガオの持つ本のタイトルを1度は目にしたことがあると思う、そしてなんだか不透明なエガオの一種のSOSを汲み取れるはずなんだ、聡そうだし。リーダーと言われるくらいなんだから。だからジョーもそれを知った上で、「仲間だろ」と口にすることで遠回りにもエガオを安心させているのだとしたら嬉しいなって思った。それにつねににこにこしてたエガオちゃんもジュンが亡くなったあと笑顔が消えていたので、それってもう隠す必要もなくなったほど大切に思ってたってことだろうし、もう未来はないけど、ほんとうの友だち、見つけられて良かったねって……思っちゃったな……妄想なんだけどね……

あとこれも妄想の域なんだけど、救われたい、というか本を読むことで肯定されたい、慰められたいのかもしれない。

前述したように、この本の中身とエガオは重ね合わせることができる箇所が何ヶ所かあると思っている。「常に笑顔を浮かべている」エガオに、「刑務所入りしてしまうほどの行動を起こしてしまった(言うなれば加害側)」エガオに、「いじめられていた」エガオに、形は違えど似た境遇にいる子についてたくさん書かれている。だからこんな体験をしたのは俺だけじゃないんだという拠り所になるし、良くも悪くも自分を慰めることが出来るのだ。

それに『ほんとうのー』の文章というのは、いろんな人に配慮してだと思うけれど、とてもやわらかいように感じる。どの立場に立つ人を過度に責めたりしない。ちゃんと受け止めて、でも甘くなりすぎないよう冷静に文を進めてくれている。してしまった側もられた側もどれもエガオには変わりないけど、そのエガオのどれをも、筆者さんのやわらかさを以て慰めてくれたのがこの本なのかなと思った。

 

何を思ったか、は正直エガオちゃんのみぞ知るって感じだけど、自室に持ち込んでたのは上記なのかな〜と勝手に解釈した。もっとエガオちゃんについて噛み締めたいから円盤化を希望します。

 

 

以上。放置しすぎて何が書きたいかよくわかんなくなってしまった。

少年たちに関するメディア露出を追いきれていないのと最後に見たのが実演BのLVの日だった気がする。もはやすでに記憶があやふやなのでエガオちゃんに対する情報不足なところもあったと思う…それは申し訳ない…なにか違っていたらこっそり教えてね…あといつか罪と罰も読みたいです。

話がまとまらなくてごめんなさい、推敲が苦手なのだ……また借りたら手直しします。オタクのエガオちゃん考察も読みたい。あー、少年たち、好きだな〜。